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2016年 03月 04日
2016/03/04
  日記:

   Monoアンプの製作を続けています。

    今回は出力段の製作です、出力段はこのアンプの場合0.22マイクロFの片側のリード線から
   EL34の二本の真空管、出力トランスの二次側 8オーム端子までです。
   回路図実体図の通りに組み立てて行きます。この回路は差動回路によりますので信号は
   これらの中を回り、外(電源回路)には出てきません。上手く作動させるには、その周りを
   短くするのがコツですね。EL34のプレートから出力トランスの一次側コイル、もう一方の
   EL34のプレートを通り、カソードから出てもう一方のEL34のカソードへ戻っていく
   ループのことです。球の熱の事もあり、なかなか短くは出来にくいのですが、いろいろ
   考えて下さい。これらの配線は短く、太くが重要になります。今回はAGW20番手のコードを
   使います。ハンダもココは無鉛ハンダを使いましょう。有鉛のモノより電気抵抗がとても
   少ない利点があります。鉛は電気抵抗が大きいですから。コードの耐圧は600Vのモノです。

   この差動回路を理屈どおり動かすには、二本のEL34、回路図の上の球と下の球を同じに
   動作させる事が必要です。でも全く同じに動かすのは至難の業なのですね。トランスの
   巻き線自体、上と下とでは線材の長さも違いますし、巻きの回数も巻く場所が違うので
   いろいろ調整しているはずです。球個体の差もあります。ただ定電流差動回路はプッシプル
   回路と異なり、上下の球は一体の定電流動作で、平衝な増幅をし、出力トランスは
   インピーダンスの変換器として動き、逆相の合成器として機能はしていませんので
   かなり有利なのですが。球を同じ様に動作させておけば歪や出力では有利なので、二本の
   EL34のバイアス値を調整します。実際には回路図の5Kオームのヴォリュームを動かして
   調整します。所謂DCバランスを取ると言う事ですね。10Kオームを通り黄色のコード(-C)
   につなぎます。
    ヴォリュームはコスモス製の16mm径、密閉型のモノです。ベーク板上に作られたカバーの
   無い簡単なモノは継時変化に弱い様で使わない方が良いと思います。ラックスの市販品で
   これを用いた商品があり、かなり故障原因となっていたとWeb上にリポートがありました。
   経験的に密閉の方が痛みは少ない様でした。

   バランスを取る時は、カソードとLE317Tのinの間、上下に二ケ所小さく正確な値の抵抗を
   入れて、球のソケットの両8番間の電圧の差を0Vに成るよう調整します。この抵抗は4.7オーム
   1%誤差のモノを使いました。実測値を確かめて同じ値のモノを選抜しておきます。

   音質的にはこの抵抗は削除したいので、後で取り除ける様に0Vにした時の出力トランスの
   P1、P2間にアナログテスターの電流測定ポジションでどの位の電流値になっているか記録して
   おくと4.7オームを取ったあとも、バランスを確かめる手立てとなります。ここの配線は
   あくまで仮と云う事ですね。球の電流は点火始めは変化も大きいですし、継時変化もあり
   あすので、時々確かめるのが良いでしょう。ただ微妙な値を追求する必要はありません。
   アンバランスが1mAより小さければ十分ですよ。上手くバランスしない時は上下の球を
   入れ替えたり、他の球を確かめて下さい。全部が組みあがった所で入力をショートさせて
   再度バランスをとります。

    LE317Tは絶縁シートをかいしてプラの絶縁ワッシャーを通してビス止めします。
   放熱グリスの使用も良しとします。取り付けフランジと放熱板の導通が遮断出来ている事を
   テスターで確かめておいて下さい。このICは結構発振し易いとの記事をみますので、配線は
   短めにします。100オームで負荷を振り分けているので発熱そのものは大丈夫でしょう。
   ICの端子なども短めにカットしますが、ハンダがはがれ易い所なので少しからげます。

    EL34の五番端子の所へ付く2Kオームの抵抗は局部発振を防止する為で、なるべく
   端子へ短く付けなければなりません。ただ経験的にはあまり効かない様に思えます。
   2Kから3.3K位に増やすのも方法ですが、初段12AX7のカソード周りと負帰還抵抗の配線を
   短めにした方が効いてくる様に思います。グリッドの帰還抵抗は470Kですが、330Kの方が
   幾らか安定度が上がりますが、実際効果の程は・・・? この辺もリード線は短めにして
   おきましょう。

   
    1. 先ずはEL34のプレートと出力トランス(OPT)の一次側周りの配線をします。
     EL34のプレート(3番端子)とスクリーングリッド(4番端子)間の100オーム1Wの
     抵抗をハンダ付けします。この端子は球の挿入時中のピンがフリーに動かないと
     拙いので、ある程度余裕がある様にハンダ付けします。ハンダを多く盛って
     ソケットのベースに触れ動き辛くならないように注意します。しかもこの抵抗は
     端子に近い必要があります。球の発熱も大きいので、この抵抗はかなり熱くなります
     のでソケット本体に触れない様にします。1Wとスペックオバーなのは、熱のためです。

        
      OPTの一次側のリード線はラグ板の端子に止めます。中古トランスの流用なので
     黒のリード線の長さが短かい状態でしたので、1.2mmのスズびき単線で補っています。
     P1とP2は少し余裕を持たせていますが、負帰還をかけた時、正負が逆になってしまった時
     ココでP1、P2を反転させる事を考えての処置です。正しくかかれば短くしてしまって良い
     です。球プレートとのP1、P2間の配線は赤色のAWG20番を使います。今回は手持ちの赤が
     ないので白で代用しました。

    
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    2. 次にEL34のカソード周りを配線します。実体図の通りですが、DCバランス検出用の
     4.7オームの抵抗を仮付けする所が図とは違います。配線材はAWG20番の青色にしました。


     ソケットの8番はカソード、1番はサプレッサグリッドです。今回は8番.1番は連結させます。
     これは、EL34の特長で、普通のビーム管(6L6、KT88など)や五極管はガラス管の中で
     結線されているモノが多いのですが、EL34は内部接続されていませんので御注意下さい。
     短い1.2mm径の裸線で動きを確保できる様にハンダ付けしました。

        
     LM317T周りの配線をします。バイアス電圧を制御する15オーム1Wのアース側の配線は
     実体図と違い、短くしてみました。LM317Tの三本の端子は酸化皮膜で白っぽくなって
     いますので、ニッパーの刃で軽くしごいて光らせて、ハンダのりが良い様にして置きます。
     inとoutの端子は短めにカットした方が良いでしょう。100オームは発熱しますので
     シャーシーの上側(ひっくり返しているので底側)の方に配置しましょう。IC周りの
     ハンダ付けは放熱クリップを使用します。

     
2016/03/04_f0080162_14532690.jpg



    3. DCバランス調整用の5KΩBカーブのヴォリューム(VR)は16mm径のモノを使いましたが
     三つの端子間隔が狭かったので24mm径のモノの方が作り易いと思いました。失敗でした。

     -Cの配線は実体図とは異なりOPTの側を回る様にいたしました。
     
     余ったラグ板の端子もニッパーでカットしておきました。

     470kΩから5KΩとVRの配線が少し長くなってしまった事に気付きました。もう少し
     気の利いた配線にしたかったのですが・・・・・・・・!

      
    4. 一応、出力段の配線が終わった所で、配線間違いや忘れ、コンデンサーの極性間違い
     などが無いか確かめます。

      通電のチェックをします。スイッチをONにし、直ぐにOffします。B電圧(トランス一次側の
     中点、黒色の所で良いでしょう)。とアース線 (最後のブロックコンデンサーのマイナス側)
     の電圧をテスターのDCVレンジで測りたいのです。大まかに350V前後になっているはずです。
     電圧はゆっくり下がるはずです。まだ球も挿していないので、高くてもOKです。

      球を総て挿してON、LM317Tのout-adjst間(15Ω端子の両側)の電圧を測ります。1.2V前後
     あれば正常です。そうでない場合は配線違いやIC自体の破損、ショートが疑われます。
     ついでバイアス電圧のチェックです。アースとカソード(8番)間の電圧を測ります。概ね
     23V前後と云う所でしょう。プレート電圧(3番)は330V位でしょうか。これらは後で再調整を
     します。 
                                    
       
    5. 次に出力管のバイアス値を調整します。
     両EL34の8番端子間の電圧値の差を0Vに近ずける様に5KΩのヴォリュームで調整します。
     完全には0にはならず、かなりふら付いた値で変化しますので概ねで宜しいのです。
     
     これで、出力段はOKとなります。

     写真を上げて置きます。バイアス値を測っている所です。

      
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    6. OKと成りましたので、各電圧をゆっくり測ってみました。
     電源トランス二次側のAC 0-250V端子で行くと+B電圧が334.4V、バイアス値が23.3Vに
     なっていました。予定では300Vアンダーを考えていましたので、低くしたいですね。
     AC 0-220Vに変更しました。電源トランスの電圧値の設定は私には難しく上手くなかなか
     行きません。流用品なので、前作では115mA位を流していたので、今回85mAでは
     高くなっても、そう上がらないと思ったのですが・・・・・・・・・・・・・!

      AC 220Vの+B 284.5V程度 ヒードアップ中の最大電圧値は314V位、
      EL34 V1 プレート電圧値が、283V V2 が 282V程度。
      バイアス値は V1が18.9V V2が18.7V 二本トータルで84mA流れています。
      いろいろロスもみて、Ep=270V Eg=20V Zp=8K 42mA でロードラインを引いて
      みました。余裕十二分と云う所で、最大出力は7W弱位でしょう。出力トランスの
      通過損失もあるので6Wと考えています。


     
2016/03/04_f0080162_10444487.jpg



    目的としてはOKと云う所でしょう。 赤色のLEDは470Ωを通してみましたが少し暗めでした。

    次に、初段部の配線に進みます。




        今夜の一曲。

          Maurice Ravel - Bolero  振付はベジャール、てな事はないか !


           


    
        

by Artist-mi | 2016-03-04 15:07 | モノラル再生EL34monoなど | Comments(0)


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