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2009年 08月 07日
2009/08/07
俗悪。

  雨でTVを観るチャンスが出来たのですが、こんなに俗悪な番組が多かったか?
  
 俗悪について少し書いてみました、とは云ってもヘボ絵描きの考えの範囲でですが。
 
  美の反対はおそらく醜でしょう。芸術が美より、もしも広い範囲だとしたら、
 醜も含まれると思えますが、では芸術の反対に位置するモノは何かと云われると
 私には「俗悪」だと思えます。

  ただ、俗悪にもいろいろ種類があるようで、シェークスピアの戯曲には誠実な
 俗悪があると或る批評家言っていますが、そうすると不誠実な俗悪もあると云う事に
 なる様です。俗悪はもともとは、大衆、すなわち無教養の人々の趣味思考と云う事
 なのでしょう。しかし趣味にも優れていると思えるモノとそうでないモノもあります。
 民衆の趣味が必ずしも劣悪なモノばかりでは無いことは、いわゆる文化人類学の
 対象となる人々の作る、いろいろな民族芸術をみれば証明できるでしょう。
  そう考えるとシェークスピアの戯曲が、これだけアピールするのは、大衆の俗悪を
 彼自身が良く理解していたと云う事にほかありますまい。ベニスの商人、真夏の夜
 の夢・・・・、多々思い付くことでしょう。
 
  また、俗悪はいろいろな社会、階級に存在していましたし、歴史を振り返っても
 俗悪な趣味から自由でありえた時代がはたしてあったとは思えません。ただ
 都合の良い事に、多くの俗悪なるモノ?はどういう訳か自然消滅してくれます。
 しかも、昨今はこれらのモノを収集する人もいて、面白い事でもあります。
 これらを好まれる人は、ある種のユーモアや嘲笑の後ろにある動機がとても真剣な
 テーゼであったりする所に惹かれているのでしょう。
 
  その意味では俗悪とそこに含まれる笑いは、社会的な価値を持っているのだと
 思えてきます。いわゆる偽善の解毒剤として誠実な俗悪はあるのではないでしょうか。

  そうすると、不誠実な俗悪は恐らくタイミングが悪い、KYな俗悪と言えるので
 はないでしょうか! 飲み間違えた薬と云うわけです。
 
  「俗悪」、この感性のあり方は人が話す内容そのものより、その感情の敏感性に
 より決まる表現の問題であると私には思えて来るのです。
 誰もが持つ感性を良く育てれば、不誠実な俗悪には陥らない事になって行くと思う
 のですが、不幸にしてTVを見ていると我々の時代は感性を育てる場面がとても
 少なくなっていると思えてなりません。
 
 
      今夜の一曲。昨夜(6日)の曲の、いささか「俗悪」な表現として!
       それにしてもこの頃の録音技術は凄いですね。
       
    Bellini Capuletti Natalie DESSAY Orchestre Prométhée Durand

     

      さらに、誰でも判る例では。

    Fifth Element MV

      


by artist-mi | 2009-08-07 21:02 | Comments(2)
Commented by チョットです。 at 2009-08-09 11:21 x
こんにちは。
 お話は苦手なのですが、実例の演奏は良く判りました。
 エコーを掛けると綺麗な声になるのにはビックリです。
 ミキシングも大分使っていて、実演感は消えてしまって・・・。
Commented by artist-mi at 2009-08-09 18:12
こんにちは。
この二つは「クチパク」でしょう。 指揮はな~。
映画の方は当然ですね。


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