2009年 07月 31日
2009/07/31
 29日に上げた、ベン・ニコルスンの絵について書いてみます。
 
  彼の作品は初期「抽象主義」の作品です。制作発展の経過はかなり連続的
 なのでクリックしたURLの個々の絵からは見て取れると思います。
 それは、印象派のように、自分の周りと心との客観的関係から始め、平面、
 形、色彩とのかなり純粋な形式的な関係を考えたモノになり、外界との関係を
 捨ててしまう段階を通り、再度外界を取り込んでいる様に見えます。
 「抽象画」の発展を考えると、外界との関係を一応絶った段階の絵が特に際だって
 いると私には見えます。白く見える作品はその典型ではないでしょうか。
 色彩を使わないなかに、白色と影による灰色は、それにも係わらず、とても
 微妙な感じがあり、空間、輪郭、深度などが生み出す調和は甚だ満足な結果を
 表していると観ました。絵画と言うよりレリーフの感じで、木(胡桃、マホガニー)
 を彫ったり、ベニヤの目に白を入れたりして作られています。
 
  「抽象主義」はその性質から芸術を突き詰め、ミニマリズムの様に行き詰まって
 しまうと言われますが、彼の作品を観るとそれは必ずしも現実とのかかわりを
 一切失ってしまっている事を意味してはいないのが解ります。
  彼はその作品の外観の内に現実が潜んでいると信じていて、彼の現実への
 直感に実物の形式をそえる事によって、現実の本質的性格を表現するのが、
 自分の作品の仕事だと考えているのではないでしょうか。彼の現実への直感は
 自然の、わりと明解な形式にリズムを合わせた心から生まれ、自然現象の均衡や
 調和を内在させている様に見えます。
 
  彼の白い絵は、ずっと行われた自然主義の色彩の使い方から、完全に色彩を
 開放する事となったと云う点は重要に思います。それにより新しい可能性への
 発展がなされたのです。色彩はそれ自身で価値を持ち、色調より強度、濃淡、明暗
 などの方が重要な構図をなす要因と証明していると私は思います。
 もう少し彼の絵は観られて良いのではないでしょうか。
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by artist-mi | 2009-07-31 20:20 | Comments(0)


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